【歌詞】レスピレータ - 是 feat.初音ミク #sm31058312
はじめに
是さんの『レスピレータ』という曲がありまして、これは僕が大好きな曲なんですけれども、歌詞がどこにもなかったので(勘違いならすみません)、動画から書き起こしてみました。
本題
リンク
歌詞
仕様が無い わかってても
いつかみたいな笑顔が見たいな
理想はもう変わっていた
閉まる無数のドア
好き 嫌い が交差した
ふたり善がりな充足感を
それで善いんでしょうか
いつかもし心が死んで
望んでいた未来が壊れたとして
わたしは
透明を只管流し*3
息をするんでしょう
いつかもし心が死んで
笑えていた日々を憎めるとしたら
わたしは
仕様も無いわたしと共に
息をするんでしょう
なんてね
肥立っていく*4現状の親は
仰向けになったおもいで
心地好くもない風に溶ける
顔と声
お金が
嘘が
わたしが
無力だってこと
解ってたっけ
心臓は堪らなく痛いのに
でもね
それがね
あなたをいかすと思ったの
何か言いたそうに開口
例えばいつかもし心が死んで
望んでいた世界が終わるとしたら
わたしは
透明を只管流し
息をするんでしょう
いつかもし心が死んで
明日のわたしまで手を離すのなら
わたしは
くだらない体を抱いて
息をするんでしょう
おかしい程やさしい世界は
救いようの無い奴が救っていた
それに気付かずに日を食っていた
何時から?
何処まで?
如何して?
ってのは禁忌かな
生まれたのか
産まれたのか
とか
今はもうどっちだっていいので
神様が絶った管只々 力一杯ひこう
いこう
ぐこう?
願う前の希望すらもない
それ故か空も知らん顔
わたしは
可哀想なわたしを慰めたいの
赦してね
いつかもし
あなたが死んで
深い黒に突き落とされるのなら
わたしは
意味の亡い身体を脱いで
息もしないだろう
そしてまた言葉は消えて
御月様も目を瞑ったら
まさか
あなたは
独り いくんだろう
何て
なんちゃって
おわりに
是さんの『レスピレータ』を書き起こしてみました。こうして見ると丁寧で厳密な言葉選びがなされていることが分かります。例えば "それで善いんでしょうか" では "善い" という漢字を当てて意味を限定し、一方 "仰向けになったおもいで" では "おもいで" というふうに漢字を限定しないことで「思い出」「思いで」という具合に含みを持たせています。また修辞技法も巧みで、 "透明を只管流し" の、 "管流し" に「管を流す」という意味と、「管流し:伐採した木を谷川に1本ずつ投げ入れて流し送る」という暗喩から示唆される、途切れ途切れに呼吸がなされるような印象とでダブルミーニングを成す表現はその最たるものでしょう。もっとも、 "透明を只管流し" という歌詞自体が大いに含みを持たされているものなのですが。ともかく、厳密な言葉選びの上に二重三重に含みを持たされた歌詞が書かれているのは見事としか言いようがありません。さらに『レスピレータ』で特筆すべきは、これだけ練られた歌詞を、あろうことかわざとくぐもらせた小さな声で歌わせている所にあります。まるでレスピレータの下から歌われているかのように。それは普通の空気では生きていられない人の、綺麗な空気を吸っているがゆえの、悲痛で繊細で美しい、ごく私的で内向的な叫びなのです。そして大切なことは多くの場合小さな声で語られるのです。
なんちゃって。